本日の東京新聞夕刊の匿名コラム「大波小波」の文章が印象に残った。
オリンピックやスマップの解散報道によってかき消されてしまった感もあるが、戦後最悪とも言われる相模原障害者施設事件の犯人の奇行や手口の残忍さなどの「表象」だけを批判して終わるのではなく、その背景にある社会的「構造」を捉えるべきだという内容である。
短い文章であるが、的を射た力のある文章である。
勉強のつもりで引用してみたい。
(連続殺人犯のジョン・ウェイン・ゲイシーが刑務所で描いた絵に少数ながら熱狂的なファンがいるという話に続いて)
おそらく、相模原市の障害者施設で四十五人を殺傷した犯人にもファンが現れるだろう。今回は思想的な背景があるだけに悪しき影響が長引くという危険がある。
障害者は「人間ではない」「不幸をつくることしかできない」という優生思想に基づき凶行に及んだとされる。残念ながら自己責任論が広がり、経済効率を優先する現代の日本には、事件の前からこうした差別主義者と同じ思想を持つ人間が少なからず存在していた。そして障害者への差別意識は、生活保護や在日の人へのバッシングとも深いところで繋がっているのだ。
被害者、遺族の無念と怒りに応えるためにも、社会の奥底にうごめく闇とどのように向き合い、いかに戦うべきかを真剣に考える必要がある。