『栄養士&管理栄養士 まるごとガイド』

藤沢良知監修・「食生活」編集部編『栄養士&管理栄養士 まるごとガイド』(フットワーク出版 2005)をパラパラと読む。
管理栄養士や栄養士の資格の紹介に始まり、第一線で活躍している栄養士の姿やこれからの管理栄養士・栄養士の活躍に向けた提言、最後は国家試験の案内や勉強方法で締めくくられている。
管理栄養士という資格自体は1962年に設けられたが、その業務内容は「複雑困難な栄養指導等」とされ、従来の栄養士との仕事の違いが明確ではなかった。2000年3月に栄養士法が改正され、管理栄養士の業務内容は以下のように定義づけられた。

  1. 傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導
  2. 個人の身体の状況、栄養状態等に応じた高度の専門的知識及び技術を要する健康の保持増進のための栄養の指導
  3. 特定多数人に対して継続的に食事を供給する施設における利用者の身体の状況、栄養状態、利用の状況等に応じた特別の配慮を必要とする給食管理及びこれらの施設に対する栄養改善上必要な指導等を行うことを業とする者

こう言っては怒られてしまいそうだが、医療や福祉、介護、スポーツの分野のニッチを埋めるという点では、管理栄養士と理学療法士はよく似ている。オリンピック選手に帯同して競技力向上を目指すなどの華やかさがある一方、まだまだ位置付けの不明確さがついて回る職業である。現場では「味」を追求する調理師と「栄養」を高める栄養士との宿命的な対立が待ち構えている。管理栄養士・栄養士の地位向上を求める声は強いが、そうした声の背景には、専門性を発揮できない現場の苛立ちがあるのだろう。

巻末に栄養士・管理栄養士のスキルアップ情報がまとめられている。そこに掲載されている資格の中に、いかにもインチキくさいものも混じっていた。資格ビジネス極まれりといった感である。カッコ内は受験料や受講料他である。

  • 栄養サポートチーム(NST)専門栄養士
  • 糖尿病療養指導士
  • 介護支援専門員(ケアマネージャー)
  • 健康運動指導士・健康運動実践指導者
  • フードコーディネーター
  • 消費生活アドバイザー・消費生活コンサルタント・消費生活専門相談員
  • 産業栄養指導担当者(44,000円)
  • 食生活アドバイザー(3級:4,200円 2級:6,800円)
  • フードスペシャリスト(4,000円)
  • 認定健康心理士(50,000円)
  • 食品保健指導士(199,500円)
  • サプリメントアドバイザー(15,000円)
  • 健康咀嚼指導士(15,000円)
  • 健康教育士(30,000円)
  • 病態栄養専門士(20,000円)
  • 栄養情報担当者(NR)(15,000円)

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