岡田尚『人はなぜ闘うのか JRのすべては人材活用センター弾圧事件からはじまった』(教育史料出版会)を読む。
過去半生を電車の運転や整備に掛けてきた人間が思想・信条を理由に仕事から外されることがいかにつらいことなのかということを、読者に嫌がうえでも訴えかけてくる。「人間の自由、労働の自由をたたかいとろう」これが人材活用センターに収容された労働者の発行したパンフの表題である。考えるに、総評自体が「労働を通じた自己実現」という職業観を基底に、戦後の運動を展開してきた。しかし労働組合の「横並び春闘」といった固定化された路線の限界性が90年代通して指摘され続けた。しかし「ITブーム」やら「ITバブル」やら何やらで、ますます労働が疎外化し、職場が解体されていく中で、労働または職場を通じた社会参加、反戦反差別運動への展開という考えは見直されてもよいのではないだろうか。
『人はなぜ闘うのか』
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