月別アーカイブ: 2007年9月

『おりこうさん おばかさんのお金の使い方』

板倉雄一郎『おりこうさん おばかさんのお金の使い方』(幻冬舎 2005)を読む。
著者板倉氏は、高校を卒業後、ゲームソフト会社を設立し、91年には、3つ目の会社「ハイパーネット」を設立し順調に業績を伸ばし、栄えあるビジネス賞を総ナメにし、ビルゲイツとも商談、そして、日経新聞の一面を飾るも、97年負債総額37億円で破産したという異色の経歴を持つ。
本書では胴元が必ず儲かる仕組みになっているギャンブルやハイリスクな金融商品、また短期的な利回りに目がくらみ長期的な物の見方ができない人、専業デイトレーダーとなって身を持ち崩してしまうなど、マネーゲームに翻弄される人や社会に対して、あくまで正論で批判を加える。実態経済価値とマネーの乖離が乖離し、通貨そのものに投資して稼ぐような今の世相を嘆く。

「金だけいじくって」年に数千万円、数億円稼ぐ人がいます。自動車会社で、新型エコロジーエンジンを開発し、年収数百万円の人もいます。社会に対して提供した実態経済価値において、前者は、後者より、十倍も二十倍も「えらい」のでしょうか?
(前略)価値を生み出すのは、お金じゃない、人なのです。

『独立できるFPできないFP』

井畑敏『独立できるFPできないFP』(近代セールス社 2002)を読む。
証券販売とも保険勧誘とも異なる、ライフプラン全体を見通した資産運用や定年後の資産管理をアドバイスする「ファイナンシャルプランニング」の第一人者である著者による業界の手引き書である。自社の「株式会社FPプラネット」が主宰する独立系ファイナンシャルプランナー養成講座の宣伝が巻末に踊る宣伝本なのであるが、米国でのファイナンシャルプランニング(CFP)を日本に導入し、公認会計士や弁護士などの協力を得ながら日本ファイナンシャル・プランナーズ協会を設立し、認定試験を作成・実施して、業界を築き上げるまでの道のりが分かりやすく書かれている。相談は無料だと考えるものが多い日本において、資産の計画や人生設計のアドバイスだけで顧客を獲得し独立していくFPを育てようとする筆者の意気込みがストレートに伝わってくる。