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『小さな中国のお針子』

引っ越しのため、先週3週間ぶりに回線が繋がった。また今週から雑記帳の更新を再開してみたい。
引っ越しのついでにプロバイダーも乗り替えようかとも思ったが、ADSLもそう長く使うことはないだろうと、8M契約のまま移転の手続きをした。

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昨日フランス映画ダイ・シージエ監督『小さな中国のお針子』(アルバトロス・フィルム 2002)を大宮へ観にいった。
『戦場のピアニスト』を観に出掛けたのだが、満員で見ることが出来ず、仕方なく観た作品だったが、案外面白かった。中国大陸を滔々と流れる長江の三峡ダム建設のために潰れた小さな山村での恋愛話である。文化大革命時代に禁止されたバルザックの作品に触れたことで大きく変わっていく女性と、過去を忘れられない二人の男性の焦がれる気持ちが微妙に交錯する。中国の田舎を舞台としながらも、上質なフランス的な香りがほのかにする恋愛映画であった。

『マイノリティレポート』

本日トムクルーズ主演・スピールバーグ監督の『マイノリティレポート』(20世紀フォックス 2002)を観に行った。
『ミッションインポッシブル』と重なっている場面もあったが、伏線が何本もあり最後まで展開が読めず面白かった。情報ネットワークのデジタルな社会とアナログな人間感情の矛盾というシンプルなテーマのSF映画なのだが、市民のプライベート情報のデータ化や推定有罪に基づく予防社会など、現在の社会状況をうまく延長させた世界が展開されている点が不気味に感じて仕方がなかった。ジョージオーウェルの『1984』の現代版と捉えると、興味深い味わい方ができるはずである。

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『ジョンQ』

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先日、ニック・カサヴェテス監督のアメリカ映画『ジョンQ』(2002 米)を観にいった。
金のかかっていない映画であったが、なかなか面白かった。デンゼル・ワシントン演じるジョンQが息子の心臓移植リストへの登録を要求するために、病院を占拠するわけだが、舞台劇を観ているような生々しさを感じた。
また面白いことにチェーンで占拠された病院内ではベテランの医者と新米の医者と患者と患者の家族の関係性が崩れていくのだ。そして新米の医者の口から貧乏人を救わない医療保険制度の欠陥が語られ、ベテランの医者の口からは医療体制の矛盾が語られる。ちょうど全共闘でのバリ封内での解放区のような議論が展開される。結局ジョンQは犯罪者として罪に問われるのだが、それはそのままアメリカの医療保険制度の不備を指摘するものであった。

『Dolls』

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北野武監督『Dolls』(松竹 2002)を東京お台場へ観にいった。
10年前に公開された北野武監督、真木蔵人主演の『あの夏いちばん静かな海』(東宝 1991)のモチーフが似ていた。失恋のために精神的な異常を来たした菅野美穂演じる佐和子と西島秀俊演じる松本の二人が腰に赤い綱を結びつけたままひたすら歩き続けるだけの風景で展開していく。その二人の放浪と同時平行に報われない純愛のドラマが進行していく。先程の『新巨人の星』の感想と少々重なるが、『Dolls』も観客に作品理解のほとんどを預けてしまっている感がある。

□ 映画『DOLLS』公式サイト □