地理」カテゴリーアーカイブ

「ペルー左派政権 迷走」

本日の東京新聞朝刊に、ペルーの政権内の路線対立の模様が報じられていた。私自身もペルーの政情や貿易など分かってなかったので、ペルーの舵取りの難しさを少し理解できた。ペルーはアンデス山脈沿いにあり、急峻な山の上にあるインカ帝国のマチュピチュ遺跡の風景を思い浮かべることができるだろうか。また新期造山帯に位置するため、地層内に莫大な圧力がかかるため、原油こそ産出しないが、天然ガスや銅、亜鉛などが輸出品に回っている。

外務省のホームページによると、一人当たりGDPは6,083ドル(2020年、IMF)あり、貧困に喘ぐという状況ではない。しかし、貧富の格差が大きく、特に、山岳地域やアマゾン地域においては、貧困層の割合が高く、電力、上下水道・衛生、灌漑等の基礎インフラが十分整備されていないなど、経済成長の恩恵から取り残されており、沿岸部と山岳地域・アマゾン地域との格差是正が大きな課題となっている。

授業の中でも触れたが、世界中どこの国も国内の経済格差の拡大が急務となっている。日本でも、与野党が給付金だの、格差を拡げたアベノミクスからの転換だの、中間層を厚くする「新資本主義」だの喧しい。こうした一部の金持ちと貧困層の対立が大きくなり、国内に分断が生じると、政治も経済も立ち行かなくなる。

こうした国内の分断を解消する手段として、強力な軍事政権による支配や、企業の資産を国有化する共産主義、コーランの平等の原理に帰るイスラム原理主義が世界中に台頭し始めている。軍事政権やイスラム原理主義の問題点を列挙するのは簡単だが、そうした体制が蔓延ってきた背景を是正していく方法を論じるのは難しい。

「ASEAN ミャンマー国軍を除外」

本日の東京新聞朝刊に、東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会談にミャンマーの軍事政権の総司令官の出席を認めないとの方向で話がまとまったとの記事が掲載されていた。
ミャンマー情勢は正直難しい。軍事政権の横暴な振る舞いは批判されてしかるべきだが、アウン・サン・スー・チーを党首とする国民民主連盟時の政権運営も決して肯定されるべきものではなかった。

ただ、米中の対立が世界各地でくすぶり、南シナ海でへの中国の進出や、英米豪の安全保障「AUKUS(オーカス)」の結成などの不安定要素が増えていく中で、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの総人口6億5千万人のASEANがまとまった行動をとることができるというのは大きい。

また、日本もどんどん世界経済から遅れをとる中で、ミャンマーを含めたASEANと真摯に向き合う外交姿勢が求められる。授業の中でも、折を見てASEAN各国について触れていきたいと思う。

「ウィシュマさん妹 真相の解明求め 首相に手紙発送」

本日の東京新聞夕刊記事より。
授業中に紹介した、名古屋入管で衰弱死したスリランカ女性ウィシュマ・サンダマリさんの妹が、死亡前のウィシュマさんの様子を収めた監視カメラの映像や死亡診断書の前名開示を求める手紙を、岸田首相に認(したた)めたとの内容である。

この件は、ウィシュマさん個人の問題だけでなく、入管施設の問題点を暴き、引いては日本の移民・難民政策に焦点を当てるものとなる。皆さんも是非注目してほしい「事件」である。

「英養豚業界 悲鳴」

本日の東京新聞朝刊に、欧州連合(EU)を離脱した英国で、深刻な労働者不足が続き、特に養豚業界では出荷できない豚が行き場を失い、殺処分に追い込まれているという。

私はこの手の英国の記事があまり好きではない。人や物、金の流通を良くし、域内全体の発展を目指すEUを自ら離脱したのだから、日本を他国は全く無視してよいニュースである。英国は必早急に、より柔軟な就労ビザを発給し、他国で仕事にあぶれている人たちに労働の場を提供するべきである。また、英国は今年8月にアフガン難民を5,000人受け入れる計画を発表している。イスラム教の人に養豚場で働かせるのはタブーだが、難民の方の生活の基盤を築くための雇用の場を拡充してほしい。

「ドバイ万博 未来を創る技術」

本日の東京新聞夕刊に、中東のアラブ首長国連邦のドバイで開かれている万博の模様が掲載されていた。吃驚したのは、原油生産量で世界第7位のUAEで太陽光パネルがデカデカと展示されていることである。しかも持続可能性をテーマにしているということは、将来にわたって化石燃料を自ら否定するということである。原油や天然ガスからの転換が中東産油国全体のミッションだが、その変わり身の速さに驚きを禁じ得ない。

いや、それくらいの変化が必要な時期なのかもしれない。