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「アルメニア・アゼルバイジャン 国境画定へ協議合意」

本日の東京新聞朝刊から。
アゼルバイジャンとアルメニアの紛争といっても、場所がピンと来ない人が多いであろう。カスピ海の西岸、カフカス山脈の南側にある中央アジアの国である。アゼルバイジャンは産油国なので日本との関係が深く、柔道や空手も人気スポーツとなっている。一方、アルメニアはほとんど原油は産出されず、日本とは関係が薄い。

昨年の経済統計を見てみると、一人当たりのGDPはアゼルバイジャンが4,232ドル(2020年:IMF)、アルメニアが4,155米ドル(2020年:IMF推計値)とよく似ている。しかし言語や宗教は異なっており、アルメニアはキリスト教、アゼルバイジャンはイスラム教である。そのため、アルメニアはロシアとの関係が強く、アゼルバイジャンはロシアの天敵であるトルコと関係が深い。

アゼルバイジャン領内にあるナゴルノカラバフ自治州は、旧ソ連時代から多くのアルメニア人が暮らしており、アゼルバイジャンと折り合いが悪い。昨年、ナゴルノカラバフ自治州を巡って大規模な軍事衝突に発展した。ドローンなどの最新兵器を投入したアゼルバイジャンの勝利に終わったのだが、結局領土問題は解決にしなかった。

今回、ロシアが入って最終的な合意に向かっているとのことだが、ロシアやイランとトルコの確執もあり、上手くは行かないであろう。旧ソ連の支配下にあったカフカス山脈の周辺は、宗教や言語が入り乱れており、隣国のジョージアでも親ロシアと反ロシアの衝突が続いている。

「エチオピア首相アビー氏『戦場で会おう』」

本日の東京新聞朝刊に、エチオピア首相で隣国エリトリアとの紛争を終結させたとして、ノーベル平和賞を受賞したアビー氏が自国内の反政府組織との戦闘に躍起になっているとの報道が掲載されていた。エチオピアは中国との関係が深く、現政権に対しても中国が軍事的支援をしている。一方の反政府組織の「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の側も、政権時に中国の武器供与を受けてきた経緯がある。

「難民防ぐ『壁』EU苦悩」

本日の東京新聞朝刊に、移民の不法侵入を防ぐ壁の建設を巡って議論が再燃しているとの記事が掲載されていた。米トランプ前大統領がメキシコからのヒスパニックの流入を防ぐために壁を建設したが、トルコと国境を接するギリシアやセルビアと国境を接するハンガリーなどで壁の建設計画が着々と進んでいる。

世界史の教科書を読むと、19世紀以降、欧米は中東やアフリカの植民地に自国が抱える矛盾を押し付けてきたと書かれている。そうした宗教や資源、民族、国境など様々な要因で疲弊している中東やアフリカからの移民は拒否するというのは

「中東難民ら ベラルーシで足止め」

本日の東京新聞朝刊から。
欧州入りを目指してベラルーシの国境付近に留まっている難民の経緯が明らかになってきた。
イラクやレバノンなどの中東やアフリカからの移民が、悪質な斡旋業者に騙されベラルーシくんだりまで連れてこられたというのが真相のようだ。

「移民船転覆 27人死亡」

本日の東京新聞夕刊に、英仏の間のドーヴァー海峡で移民を載せた小型ボートが転覆し、少なくとも27人が死亡したとの記事が掲載されていた。アフリカや中央アジア、西アジアの移民がEUを目指す背景は何度も授業で触れてきたところである。

大切なのは、こうした移民問題は海の向こうの事件ではなく、ほんの近い将来、日本の沿岸でも起こる可能性が極めて高い事例であるという理解である。授業冒頭のプレゼンでも、問題の内容は様々だが、「知る」「理解する」「考える」「行動する」などの結論を提示するグループが多い。

北朝鮮や台湾からの難民が日本近海に押し寄せる事態は、容易に想像することができる。そうした時に、日本政府はどのような対応を取るのであろうか。よもや江戸時代の終わりにペリーが来航した時のように、「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四杯で夜も眠れず」とうろたえるばかりでは済まされない。