地理」カテゴリーアーカイブ

「エジプト オリーブ不作 冬場の気温上昇原因か」

本日の東京新聞朝刊に、地中海周辺の気候が変動し、農業に大きな影響を与えているとの記事が掲載されていた。地中海周辺は、大陸西側の中緯度に独特の気候地帯に位置し、夏は高温で乾燥し、冬に降水量が多い湿潤気候となる。そのため、夏は皮の厚いオリーブやレモン、オレンジなどが栽培されている。また、トマトやブドウなど乾燥に強い作物も有名である。一方冬は降水量が多いので、11月に種を蒔き、6月くらいに収穫される冬小麦が栽培されている。

この地中海式農業の公式が各地で崩れているという。地理教師泣かせの記事である。オリーブもブドウも小麦も低調とあっては、来年から授業の説明を変えなくてはならない。フランスなど夏場に多雨となるのであれば、小麦の輸出国から米の生産国に転換する日も近いのか?

「気候変動が起こした干魃 生命の危機直面」

本日の東京新聞朝刊から。
マダガスカルで危機的な旱魃が続いているという。マダガスカル島はグリーンランド島、ニューギニア島、ボルネオ島に次ぎ、世界第4位の大きさで、日本の面積の1.5倍で587,041平方キロメートルとなっている。

マダガスカルは南回帰線が国土のちょうど真ん中を通っている国であり、東部の沿岸部は南東貿易風の影響を受け、湿った風が一年中吹き込むため、熱帯雨林気候となっている。またアフリカ大陸に面した西側は、日本と同様に季節風の影響を受ける。冬は高圧帯のアフリカ大陸から低圧帯のインド洋に向かって風が吹く。そのため5月から10月(南半球の冬)までは乾季となっている。

では、湿った風が吹けば雨が降るのかというと、そう単純ではない。

「巨大経済圏 RCEP発効」

本日の東京新聞朝刊記事に、2022年1月1日付で発効したRCEP(アールセップ)の概要が掲載されていた。
「地域的な経済連携協定」と訳され、ASEANに日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国を加えた東・東南アジアの経済連携協定(EPA)である。EPAとはEconomic Partnership Agreementの略称であり、特定の国や地域同士で貿易や投資を促進するため、以下の内容を約束する条約のことである。

  • ①「輸出入にかかる関税」を撤廃・削減する。
  • ②「サービス業を行う際の規制」を緩和・撤廃する。
  • ③「投資環境の整備」を行う。
  • ④ビジネス環境の整備を協議する

RCEPは日本の命運を左右するといっても良い協定で、20年近くかけてシンガポールやマレーシア、タイなどとEPA交渉を重ねてきた結果である。日本の稲作は守りつつ、工業製品の輸出入や観光、投資環境は規制や関税を取っ払うという内容となっている。

南シナ海を中心とした国々で構成されており、政治的には衝突もあり得るであろうが、経済的な友好関係は今後とも維持したい。また2020年の貿易統計によると、日本の輸入相手国で台湾が4位となっている。台湾は自転車大国で完成車から小さいパーツまで生産している国でもある。RCEPでの経済活動に官民一体で取り組みつつ、台湾との関係についてもこれまで以上に絆を深めていきたい。

「佐渡金山 世界遺産推薦の候補」

本日の東京新聞朝刊に、文化審議会が佐渡金山の世界文化遺産登録に向けて動き出しているとの記事が掲載されていた。
一般に地理の教科書では、金や銀、銅、錫などの非鉄金属は新規造山帯から産出されるとの記述がある。新期造山帯は約2億5000万年前から急激な造山運動を受けて形成され、鉄鉱石を除く地下資源が豊富に存在する。但し金や銀などのレアメタルは必ずしも新期造山帯から産出されるものではなく、地球上の各地に偏在する。

以下に、金産出国の最新の統計データを引用しておいた。数年前まで上位に入っていた南アフリカは既にベスト10から外れている点に留意したい。

2020年の金産出国のランキング ベスト10

1 中華人民共和国(中国) 380t
2 オーストラリア 320t
3 ロシア 300t
4 アメリカ合衆国(米国) 190t
5 カナダ 170t
6 ガーナ 140t
7 インドネシア 130t
8 ペルー 120t
9 カザフスタン、メキシコ 100t