小田切陽一『昭和30〜40年代生まれはなぜ自殺に向かうのか』(講談社+α新書 2011)を読む。
著者は公衆衛生学を専門としており、統計学の手法を用いて自殺と地域別特性や経済との相関関係を明らかにしようとしているのだが、経済が悪化すれば自殺が増える、高齢者の多い地方ほど自殺率が高くなるといった当たり前の結論しか用意されておらず、あまり面白いものではなかった。企画倒れといった内容だ。
(前略)フランスの社会学者であるエミール・デュルケームの『自殺論』を引用して、この世代の自殺特徴を「アノミー的自殺」と解説しています。
アノミー的自殺とは、戦後の動乱期から脱し始めた急激な社会変化の時期に、社会的規制を失い、より多くの自由が獲得された結果、その自由に対応しきれずに自殺してしまうというものです。