久しぶりに春日部イオンで、田中光敏監督、内野聖陽、ケナン・エジェ、忽那汐里主演『海難1890』(2015 日本・トルコ)を観た。
1890年に起きたエルトゥールル号遭難事件と、1985年のイラン・イラク戦争勃発時に、テヘランに取り残された日本人の救援のため、トルコ政府が救援機を飛ばして救出した出来事の顛末を描かれる。
沈没の場面などどこかで見たことがあるようなシーンが続き、手に汗握る面白さはなかったが、草の根のレベルでの相手への思いやりある行動が国をも動かすというメッセージは十分に伝わってきた。
日本・トルコ友好125周年を記念して制作され、安倍首相とトルコのエルドアン大統領も先月揃って鑑賞している。そのためか、途中邦人救出のための自衛隊機投入の是非を問う不自然なシーンが挿入されているのが気になった。果たしてこの物語の内容上、必要なセリフだったのか。せっかくの題材なのに、国策映画のような味付けになってしまうのが残念だ。
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『インサイド・ヘッド』
今夕、娘と一緒に、ディズニーの長編アニメ映画ビート・ドクター監督脚本『インサイド・ヘッド(Inside Out)』(2015 米)を観に行った。
11歳の思春期に差し掛かる女の子の心の中の感情や記憶のメカニズムを、アニメキャラクターで描くという奇抜なアイデアの映画である。話のテンポが早く唐突に展開していくが、アニメだからこそ表現できる世界が広がり、最後まで楽しむことができた。
喜びも悲しみだけでなく、怒りや嫌悪、恐れなどの様々な感情が成長には必要であり、こうした揺れ動く感情をしっかりとコントロールすることが大人への第一歩であるという制作者のメッセージが良く伝わってきた。
記憶の底で消えてしまったビンボンを振り返えらないのは悲しいが、忘れることも大切なのである。
『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』
子ども3人を連れて、イオンシネマで、大杉宜弘監督『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』(2015 東宝)を観た。
下の子も大きくなりとても2歳には見えず、映画のチケット代だけで、大人1枚、小学生1枚、幼児2枚、しめて4,300円も支払う破目になった。
2年前に上の子と観た「秘密道具」の話は面白かったが、今回はあまりに安易な内容と雑な結末で、「つまらない!」の一言しか出てこない。Yahoo映画のユーザーレビューに「御都合主義にも程がある」というコメントがあったが、あまりに正鵠を射ていたので頷いてしまった。
あんな道具が使えるんだったら、これまでの映画のピンチの場面も全てあの手法で解決できてしまうではないかと毒付いてしまう。
子どもたちはそれなりに楽しんでいたようであるが、せっかくの夢のある映画なので、大人になっても思い返したくなる作品に仕上げてほしかった。
『新アリゲーター 新種襲来』
テレビ東京の午後の映画の時間に放映されていた、グリフ・ファースト監督『新アリゲーター 新種襲来(RAGIN CAJUN REDNECK GATORS)』(2013 米)を観た。
沼に垂れ流された化学物質で凶暴化した新種のアリゲーターが住民を次々と食い殺していくというパニック・アクション映画である。
たまには安っぽいCGを多用したB級映画でも楽しもうと思って録画しておいたものだ。最初からチープな画作りとこの手の映画にありがちなワンパターンな展開を期待していたので、十分に楽しむことができた。わざわざ危険な沼でキスする恋人や当事者以外はどうでもいい愛憎入り混じった人間関係、音楽が大音量で流れるダンスホール、銃や爆弾も効かないモンスターなど、定番のプロットをしっかりと踏まえた映画であった。
これはこれで面白かったのだが、心の中で、先ほど観た『おおかみこどもの雨と雪』の感動が一気に「中和」されてしまった。