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「海自、NATOとバルト海で演習」

本日の東京新聞夕刊に、北大西洋条約機構がバルト海を航海中の海上自衛隊の護衛艦と合同演習を実施したと発表したという記事が小さく載っていた。
記事によると、日本は域外のパートナー国としてNATOとの連携を強めており、今回の演習には二隻の護衛艦が参加し、海上で作戦を実行する際の連絡手段の確認などが行われたとのこと。今月、スペイン沖でも同様の合同演習を実施している。

つい見逃してしまうほどの記事であったが、いったい日本の海上自衛隊はどこまで自衛の範囲を広げているのか。集団的自衛権の行使が国会を通った以上、政府のお墨付きがついているのかと思うが、ロシアとヨーロッパ諸国の緊張が強まっているバルト海にわざわざ出かけ、合同演習を行うというのは馬鹿げた行為でしかない。憲法9条の精神を遵守し、専守防衛以上の軍事力に対してはシビリアンコントロールをしっかりとかけるべきである。

「キャンベルさん 自民議員の発言『危惧』」

本日の東京新聞夕刊に、自民党の谷川とむ衆院議員による「(同性愛は)趣味みたいなもの」など、性的少数者を巡る一連の問題発言について、日本文学研究者のロバート・キャンベル東京大名誉教授が、自身の同性愛者を明らかにした上で以下のようなコメントを寄せている。

 政治家がこういうことを言うことに幻滅し、危惧も感じる。(性的志向は)自分の中に通底する一つの芯のようなものだ。大きな誤解が波及していくと感じ(同性愛者である)自分の立場から批評することが重要だと思った

(「生産性」がない、性的志向を「嗜好」と表現した杉田水脈衆院議員に対しても)性的志向を「嗜好」と混同させるように書いている。努力で変えられると思っているようだが、「直せばいい」という論理は多くの人の苦しみを助長する

(日本社会のLGBTへの態度を)やんわりと遠巻きに見るが、表立って公認しない。一人一人の当事者の可能性を閉じ込め、開花させない力が働いている

「自分の中に通底する一つの芯」という言葉に込めたキャンベル氏の思いは強い。その人の「性」を否定するということは、「生」を否定することに直結する。自己の認識と他社の認識が大きく食い違うところなので、十分な配慮を心掛けたい。

川口市に夜間中学

2018年7月20日付の県教委だより(第705号)に、川口市に県内初の夜間中学が、市立芝西中学校の分校として来年4月に開校するとの記事が掲載されていた。平日17時頃~21時頃まで授業等を実施し、中学校の全教科を履修する。入学対象者は、県内に住む16歳以上で、①小学校や中学校を卒業していない方②中学校を卒業した方のうち、学び直しを希望する方③原則、在留資格のある外国籍の方のいずれかに該当する方となる。この夜間中学では、県内全域から生徒を受け入れることから、埼玉県としても川口市を積極的に支援すると明記されている。

市民団体が長らく運動を展開したこともあり、喜ばしい内容である。川口は県南地域にあり、埼玉県全域からの交通の便も良い。東京や神奈川、千葉に比べて「後発」となった分だけ、充実した教育内容であることを期待したい。また、国や県に先駆けて市がイニシアチブを取ったということも素晴らしい。特に、今後増加傾向にある外国籍の子どもの教育を担保する模範例となってほしい。

夜間中学とは
中学校において夜の時間帯に授業が行われる夜間学級のことです。義務教育を修了しないまま学齢期を超過した方、日本国籍を有しない外国籍の方、不登校等により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方等に対して教育の機会を提供します。(記事より)

 

参考 2018年5月9日付 東京新聞
「夜間中学 全国に広がれ 県内初 川口市に来春開校」

「夜間中学と日本の教育の未来」の本を手にする野川さん(左)と、「川口自主夜間中学」代表の金子和夫さん=さいたま市で

川口市は、県内初の公立夜間中学を来年4月に市内に開校する。市はずっと夜間中学に後ろ向きだったのに、開設を決めた背景に何があるのか。「県内に公立夜間中学を」と運動してきた市民団体が、直近の経緯をまとめた書籍を刊行した。前川喜平・文部科学省前次官が、2年前に川口市内での集会で「夜間中学の役割は非常に大きい」と語った講演も収録されている。(杉本慶一)

書籍のタイトルは「夜間中学と日本の教育の未来」。市民団体「埼玉に夜間中学を作る会」と、川口市内でボランティアが運営する「川口自主夜間中学」が編集を手掛けた。公立の夜間中学は、戦後の混乱期に貧困で小中学校に通えなかった人のために開設された。今は八都府県に三十一校あり不登校のまま中学を卒業した人や、日本語の習得を目指す外国人が多く学んでいる。

首都圏は東京や神奈川、千葉にあるものの、埼玉にはない。このため野川義秋さん(70)らが一九八五年に「作る会」を立ち上げ、自主夜間中学もスタートさせた。作る会は街頭での署名集めとともに、川口市や県に繰り返し開設を求めた。しかし、「市も県も前向きではなく、膠着(こうちゃく)状態が続いていた」(野川さん)。

大きな転機は、二年前に議員立法で成立した教育機会確保法だった。義務教育を十分に受けられなかった人に夜間中学などで学ぶ機会を自治体が提供する、との条文が盛り込まれた。ただ、夜間中学の開設を義務付けたわけではない。県内自治体の動きを注目する野川さんらに朗報が飛び込んだのは、昨年三月だった。川口市の奥ノ木信夫市長が「市が夜間中学を開設する」との考えを初めて明らかにしたのだ。

書籍は、その前後の経緯を詳しく紹介。さらに、教育機会確保法が成立する二カ月前、「作る会」などの集会に招かれた前川さんの講演を全文掲載した。

次官在職中だった前川さんは、夜間中学について「憲法の求める教育を受ける権利の保障、義務教育の保障、それを現実に実現するうえで非常に重要な役割を負ってきた」と指摘。「私は若いころからずっと(夜間中学の取り組みを)非常に貴重だと思いながら仕事をしてきた」と語っている。「作る会」によると、公立夜間中学の開設運動は北海道や福島県などでも行われている。文科省は「各都道府県に少なくとも一校設置を」と呼び掛けており、野川さんは「他県での実現に向けて、この本が役に立てば」と期待している。

「夜間中学と日本の教育の未来」は四六判で百八ページ。定価千五百十二円。各地の書店などで販売中。販売に関する問い合わせは、発行元の東京シューレ出版(東京都江東区)=電03(5875)4465=へ。

◆今夏から生徒募集

川口市教育委員会は、来年四月に開校する市立夜間中学について、今年八月~来年一月に入学希望者を募集する予定だ。学齢期を過ぎて県内在住・在勤の日本人や外国人を対象に、二百四十人程度の受け入れを想定している。開校時の校舎は、廃校になった旧県陽高校(川口市並木一)の建物を改修して利用する。二〇二一年四月からは、旧芝園小学校(同市芝園町)の敷地に建設する新校舎に移る予定だ。

県と川口など十二市は昨秋、夜間中学のニーズを把握するためのアンケートを行った。回答者は千二百四十六人(うち約半数が外国籍)。夜間中学に「通いたい」と答えた人は全体の三割で、そのうち八割近くを外国籍が占めた。奥ノ木市長は、開設を決めた理由について「市内に住む外国人は県内で最も多く、市がニーズに応えるべきだと判断した」としている。

「ミンダナオでの自治政府認める」

7月29日付の東京新聞朝刊国際面に、フィリピンのドゥテルテ大統領が、南部ミンダナオ島にイスラム自治政府の樹立を認める「バンサモロ基本法」に署名し、成立させたとの記事が掲載されていた。約50年にわたる政府とイスラム系武装勢力との紛争は、和平に向けて一歩前進することになった。
バンサモロは「イスラム教徒の国・地域」を意味し、基本法はミンダナオ島にあるイスラム自治区を廃止し、自治政府に予算編成や独自の議会など高度な権限を認める内容となっている。年内にも自治政府への参加を問う住民投票を自治体ごとに実施し、2022年に自治政府が発足する見通し。

フィリピンというと歴史的にカトリックというイメージが強い国である。9割近いキリスト教徒の国の中においてイスラム系住民の自治政府を認めるというのは勇断である。アキノ前政権時代に包括和平協定に調印し、基本法成立を目指す流れがあり、ミンダナオ島出身のドゥテルテ大統領が法成立に意欲を示していたとのこと。今回の和平プロセスに加わっていないイスラム過激派も存在し、同島中部マラウイでは現在も戒厳令が敷かれたままとなっている。しかし、交渉過程も含めて高度な自治政府の理想形として世界にアピールできれば良いと思う。

 

ミンダナオ和平
フィリピン南部ミンダナオ島では、マルコス政権が1960年代後半からイスラム教徒の弾圧を強め、イスラム勢力は70年代初めにモロ民族解放戦線(MNLF)を結成、武装闘争を始めた。MNLFは96年に和平に合意したが、分派したモロ・イスラム解放戦線(MILF)が戦闘を続行。MILFは97年から政府と和平交渉を始め、2014年に包括和平に合意した。(共同)

「東京五輪学生ボランティア催促通知」

8月1日付東京新聞朝刊「こちら特報部」に、文科省とスポーツ庁が東京五輪・パラリンピックのボランティアへの学生の参加を促すため、全国の大学と高等専門学校に授業や試験期間について「適切に対応」するよう求める通知を出したことへの疑問のコラムが掲載されていた。
五輪開催中に10万人を超える規模のボランティア活動に学生が参加できるように、大学に日程調整を求めており、既に首都大学東京や国士舘大学では授業や試験日程の変更を決定している。

こうした状況について、7月22日に東京・渋谷での五輪返上を訴えるデモに参加した一人、一橋大の鵜飼哲名誉教授は次のように案じる。

最近は東京五輪の開催について、反対という声が言えない空気が色濃くなっている。その同調圧力が怖い。全国の大学や高専に五輪ボランティアを学事暦に優先するような通知を出すのは、戦中の「学徒動員」を想起させる。五輪の経済効果を32兆円とはじく一方、若者を炎天下でただ働きさせることの異常さを無視ししている。
労働力も資金も資材も五輪のために奪い、福島の復興を妨害しているのに、福島から聖火ランナーをスタートさせる。被災地の人々は、そうした「支援」に「感謝させられる」。現政権は原発事故の悲惨を隠し、改憲を済ませ、天皇も代替わりした新生国家をアピールする場としての東京五輪をイメージしている。
このまま進んでいけば、20年東京五輪は間違いなく、かつてのベルリン・オリンピックにもっとも近い五輪になるだろう。

ファシズムに詳しい京都大の池田浩士名誉教授の著した「ヴァイマル憲法とヒトラー」などによれば、1933年に誕生したナチス政権は「自発的労働奉仕(ボランティア)」を推奨した。自国が窮状から脱出するには国民の社会貢献精神の発揮が必要と説かれ、青年らは次第にそれを義務であるとともに、誇りを感じるようになったという。
これは後に「帝国労働奉仕制度」として義務化される。この労働奉仕により、アウトバーン(高速道路)やオリンピック・スタジアムが建設された。さらに、この労働奉仕でもうけた土木建設業や重工業産業は正規労働者を多く雇うようになり、一時は4割を超えていた完全失業率は激減、政権への求心力を高めた。強制や抑圧ではなく、人びとの自発性や社会性に基づく奉仕を通じ、民族共同体への帰属意識を強化した点が特徴だという。