『なぜ磁石は北をさす』

力武常次『なぜ磁石は北をさす:地球電磁気学入門』(日本専門図書,2002)を読む。
本書は改訂復刻版で、旧版は講談社のブルーバックスに入っていた本である。地軸と磁軸がずれていることはよく知られているが、では実際に磁軸がどうして、どのように動くのか、観測結果を元に丁寧に説明されている。地球の磁場は過去7600万年間に171回も反転しており、過去360万年の間でさえ11回も逆転している。こうした過去の時期を研究する学問は古地磁気学と呼ばれており、世界中で観測と研究が進んでいる。特に海や湖の土砂や氷河堆積物などは、中に含まれる鉄酸化物がストレートに地磁気の影響を受けるので、火成岩や堆積岩の研究になってくる。物理学と地学が重なる分野ともなっているが、スマートな物理と泥臭い地学というイメージの異なるアプローチが面白かった。

CB1300 ファイナルエディション

Yahoo!ニュースで、HONDAのCB1300がファイナルエディションを迎えたとの記事が掲載されていた。普段、バイクの記事などあまり興味も沸かないが、“プロジェクト BIG-1”という宣伝が目に留まった。1992年に発表されたCB1000SUPER FOURから続くホンダの直列4気筒のネイキッドバイクのシリーズが終了するというのだ。

思い出せば、1992年。職場の新聞販売店の近くにあったヤマハのバイク屋でCB1000を目にして驚きの声を上げたことを思い出した。当時の同級生の友人がヤマハのSR400の購入を進めていた時であったと思う。ぶ太いマフラーの造形が今でも脳裏に焼きついている。

大型バイクの免許は持っていないが、いつかは乗ってみたいバイクである。

『映画少年・淀川長治』

荒井魏『映画少年・淀川長治』(岩波ジュニア新書,2000)をパラパラと読む。
1966年に始まり亡くなる直前の1998年まで32年間にわたって、テレビ朝日の日曜洋画劇場の解説を担当された映画評論家である。「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ…」の語り口が今でも頭の片隅に残っている。本書では少年の頃から映画に関わり、生涯にわたって映画を愛し続け、映画によって人生を学ぶことができると語った淀川氏の若い頃を中心に紹介されている。

『職人を生きる』

鮫島敦『職人を生きる』(岩波ジュニア新書,2008)をパラっと読む。
飴細工や藍染、鞄や鰻など、老舗の職人の技術や経歴、仕事にかける思いなどが紹介されている。
面白そうな内容なのだが、文章のリズムが合わなかった。例えば冒頭の書き出しが以下の件である。

東武伊勢崎線・亀戸線の曳舟駅を降り、水戸街道を越えた先に、なんとも昔懐かしい商店街が続いている。墨田区向島、哀愁を感じさせる狭い商店街を一本わき道にそれると、品をたたえたこぎれいな店舗が目に入る。
暖簾には、「羽子板 鴻月」の文字。店内を覗くと、豪華絢爛、華やかな押絵羽子板が目に飛び込んでくる

ってな調子である。読むのが苦痛になって途中で読むのをやめてしまった。

『アフリカは遠いか』

楠原彰『アフリカは遠いか』(すずさわ書店,1981)をパラパラと読む。
著者は執筆当時、國學院大学文学部で教育学を専門としている学者であった。
1979年から1980年にかけてアフリカの旅の途上で、雑誌や新聞社に送った現地レポートやコラムなどがまとめられている。そのため、時系列順に