投稿者「heavysnow」のアーカイブ

「北海道 再エネ発電量42%」

本日の東京新聞夕刊に、北海道で太陽光や風力、バイオマスなどの再生エネルギーの発電量の割合が4割を超えたとの記事が掲載されていた。
特に興味を持ったのが、バイオガスの活用である。木片チップスやサトウキビ、とうもろこしなどのバイオエタノールは教科書にも出てくるが、家畜の糞尿を発酵させたバイオガスはあまり知られていない。北海道は酪農や畜産農家が多いので、そうした糞尿を活用できれば、農家にとっても処理費用が削減できるのでメリットが大きい。

家庭の生ごみを発酵させて堆肥を作るコンポストが販売されてはいるが、多くの家庭で堆肥を活用する機会が少ないので、あまり普及はしていない。家庭の生ごみからバイオガスでを生成し、自家発電することができる製品が開発されれば、私たちの意識ももっと変わっていくであろう。

『王ジャパン、野球世界一への道』

石川保昌『王ジャパン、野球世界一への道』(河出書房新社,2007)を手に取ってみた。
著者もあとがきの中で述べているように、著者自身の個人的な理由もあり、王貞治率いる日本代表が世界一となった2006年のWBCから丸1年経ってから刊行された本である。実際にイチローや松坂が活躍したWBCを観戦した人が、当時の興奮を振り返るといった内容となっており、当該以外の者が読んでも面白いものではなかった。

「イスラエル 強硬世論の背景は?」

本日の東京新聞朝刊に、学生時代の知人の田浪亜央江さんのインタビュー記事が紹介されていた。記事ではイスラエルの右傾化やハマスへの侮蔑意識、マスメディアの煽動などが紹介されている。宗教的な右派は孤立するほど正しいという傾向もあり、イスラエルがますます先鋭化していくのが現状である。そうした情勢を踏まえ、田浪さんは米国のユダヤ人社会や米国の若者の反戦運動に期待を示している。

イスラエルの是非を云々する前に、周辺国が結束してイスラエルへの経済封鎖はいかがであろうか。イスラエルの穀物自給率はわずか6%(日本の穀物自給率は28%。但しとうもろこしや大豆などの飼料が多いので、米はほぼ100%)である。人道的な配慮は尤もであるが、イスラエルを経済的に追い詰めていくことは可能である。アメリカの学生がイスラエルに加担する米政府を批判するように、それぞれの国でイスラエルとの関わりを続けるそれぞれの政府を批判していくことが大切である。

「日中韓 FTA交渉再開へ」

本日の東京新聞朝刊に、岸田総理と中国の李強首相、韓国尹錫悦大統領が首脳会談を開催し、自由貿易協定(FTA)の交渉を再開し、議論を加速することで合意したとの記事が載っていた。

自由貿易協定(FTA)とは、特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定のことである。関税や非関税障壁がなくなるので、輸入品が安くなり、輸出量も増えるので、協定締結国同士の経済的結束が大幅に強くなるメリットがある。一方で、日本は米の輸入を制限していたり、韓国は国内市場を守るために日本の自動車の輸入を規制したり、各国とも弱みを抱えており、自由貿易協定が合意に至るまでは道のりは遠い。

しかし、政治的な軋轢はあっても、経済分野で米国抜きに経済連携をとっていくことは、東アジア全域の安定につながる。外務省や経産省には粘り強い交渉を期待したい。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」といった感情論ではなく、喧嘩しながらも裏では手を結び合っている、懐の深い外交が必要である。

『月下上海』

第20回松本清張賞受賞作、山口恵以子『月下上海』(文藝春秋,2013)を読む。
小説だったので、久しぶりにじっくり読んだ。戦前の日露欧米の租界であった上海を舞台にした小説である。前半は日中戦争が始まっても浮世離れした上海の街の模様が中心に描かれる。登場人物と一緒に旅行しているような気分になって面白かった。財閥のもつ政治力や憲兵の暗躍などのシーンも、時代考証に沿っており興味深かった。しかし、後半の人間ドラマの部分になるとイマイチ感は否めなかった。